株式会社カネカ

RECRUITMENT 2018 PROJECT: Project Story (R&D)

Project Story (R&D)

スマートフォン液晶表面材開発プロジェクト

ぶれない志、
二人三脚で
新たな市場を開拓

※所属は取材当時

嶋本 幸展

高機能性樹脂事業部
技術統括グループ
フィルム・コーティングチーム

1999年入社
物質工学科物質工学専攻(学士)修了

小山 治規

成形プロセス開発センター
フィルム化技術開発グループ

2009年入社
工学研究科物質工学専攻(修士)修了

サンデュレンの
新規用途を開発する
サンデュレンの新規用途を開発する

サンデュレンは硬質なアクリル樹脂にカネカ独自の技術で柔軟性を持たせ、フィルム化したオリジナル商品。柔軟性や耐候性に優れているため、建材の表面材などに多く使われている。嶋本は研究職として約10年にわたってサンデュレンの改良に取り組み、自動車内装などの新規用途に向けた製品開発を手掛けてきた。2011年4月、研究開発部門から営業部門へと異動した嶋本が自らのテーマとして掲げたのが、このサンデュレンの新規用途開発であった。

「サンデュレンの特徴の一つである高い透明性を生かすべく、レンズなど光学用途への適用を検討しました。その過程でアイデアの一つとして浮上したのが、携帯電話やスマートフォンの液晶パネル表面材への展開だったのです」(嶋本)

タッチパネルで操作するスマートフォンの登場により、液晶パネル表面材は硬度や防汚性に優れた強化ガラスが主流となっている。しかし調べてみると、重量や耐衝撃性で有利な樹脂を使いたいという潜在的なニーズが強まってきていることがわかった。もし年間数千万台が販売される携帯・スマートフォン市場に食い込むことができれば、サンデュレン事業は大きく飛躍するはずだと嶋本は考えた。

携帯・スマートフォンの製造会社が集中している中国に狙いを定め、鐘化貿易(上海)有限公司にいる営業部の先輩、和田肇の手を借りて片っ端から営業をかけた。しかしこの分野では全く実績のない製品だけに話は簡単には進まない。粘り強く交渉を進めた結果、大手携帯電話会社から材料指定を勝ち取ることに成功する。

前例のない挑戦 前例のない挑戦

実際に使ってもらうためには、サンデュレンの大幅な改良が必要だった。嶋本は、自分の後をついでサンデュレンの研究開発担当となっていた小山に声をかけ、必要な仕様を検討。嶋本の10年後輩で、入社当時の指導員でもある嶋本を兄のように慕っていた小山は、久しぶりの共同作業に張り切った。

「新規分野に向けた開発は自分にとって初めての経験。よし、これまで世の中になかったものをつくってやるぞ、と思いましたね」(小山)
しかし開発は思ったほど簡単なものではなかった。サンデュレンそのものの改良はお手の物だが、これを液晶パネルの表面材として使うためには、傷つきにくくするために塗液をコーティングし、搬送途中で傷まないようカバーフィルムを貼る必要があった。
「従来、カネカはフィルムの原反をそのまま出荷するだけだったので、社内にはフィルムを加工する設備はない。まず加工をしてくれる協力会社を探すところから始めなければなりませんでした」(小山)

前例のない挑戦だった。小山はカネカ伝統のコアシェル技術を駆使してフィルムのバランスを調整するとともに、協力会社と共同で専用の塗液を開発。フィルム加工会社でサンデュレンのロールに塗液をコーティングしてもらい、保護フィルムを貼り付ける。試作のたびにこの作業を繰り返して、仕様を固めていった。

もうあきらめた方がええんと違うか もうあきらめた方がええんと違うか

着手から3か月、「これでいけるだろう」と自信を持って試作品を提出した。ところが先方で生産試験を始めたところ、思わぬトラブルが発生する。成形後の工程でフィルムが割れてしまったというのだ。

「先方に呼び出されて目の前でパリンとやられました。『ほら、割れるやないか』と」
実際にどうなのかを確認するために、嶋本たちは自分たちで金型を作って同じようにテストをやってみた。結果は先方の言う通りであった。
もちろんカネカでも納入前に切断テストは行っていた。しかしそれはカッターで切ってみる程度のもの。従来の顧客であればそのレベルのテストで足りていたのだが、携帯部品メーカーに納入するには、先方の製造環境に合わせたさらにシビアなテストが必要だったのである。
「認識の甘さを反省するとともに、競争の激しい新規分野に参入することの難しさを思い知らされました」(小山)

とはいえテスト環境を整えたことにより、問題点の洗い出しは容易になった。成形の時に割れるというのがどういうことなのか、それがどんな条件で起きるのか、どうすれば防ぐことができるのかが見えてきた。小山はフィルムや塗液を見直して全体をブラッシュアップ。フィルムを完成させた。

ところが修正版のフィルムを持ち込んだ嶋本に対して、先方が突き付けた回答は「NO」であった。今回は問題ないと、カネカでやったテストの結果を示してもダメ。実はカネカが修正作業を進めている間に、なんと別の企業が食い込み、材料指定を奪ってしまっていたのである。生き馬の目を抜くような激しい競争の現実を突きつけられた。

「お前らいつまでやっとんのや。もうあきらめた方がええんと違うか」
すでにスタートから2年。コストばかりかさんで成果が出ない状況に、社内からはプロジェクトの廃止論が浮上し始めていた。また開発に協力していただいているメーカーからも「本当に製品化の見通しがあるのか」とクレームが入るようになった。協力会社には試作だからと半分赤字で協力してもらっている状態だったのである。

しかしここまで開発を進めてきた以上、あきらめるわけにはいかなかった。採用はされなかったが、手元には実用に耐えるフィルムがある。技術も蓄積できた。「方向は間違っていない。必ず道は開ける」嶋本と小山は協力会社に出向き、自分たちが本気で取り組んでいること、責任をもってユーザーを見つけ出すことを伝え、引き続きの協力をお願いした。

スマートフォンへの挑戦 スマートフォンへの挑戦

嶋本は再び中国に飛ぶ。その後、約半年かけて、鐘化貿易(上海)有限公司の和田とともに携帯メーカーや加工業者を訪ね歩いた。訪問した企業の数は30社以上。その中でとくに強い興味を示してくれたのが、某大手メーカーA社(以下A社)だった。
「新たな仕様のスマートフォンを検討しているが、既存の材料ではうまくいかないという話でした。それなら我々のサンデュレンが使えます、と提案したのです」(嶋本)

とくに先方が悩んでいたのが成形特性だった。他のフィルムでは、まっすぐな面にならなかったり、コーナーの角がきれいに出なかったりと難航していた。この解決に嶋本が持参したサンデュレンの試作品がぴったりはまったのだ。発売予定日が差し迫るなか、先方にとってもカネカの登場は渡りに船だった。プロジェクトに光明が差しはじめたのである。

基本の物性については合格点。最後に残ったいくつかの課題も小山は塗液メーカーやフィルム加工メーカーと検討を重ね、問題を解消した。

試作フィルムができると中国の加工メーカーに持っていき、製造テストを行う。その結果を受けて検討を行い、また試作品を作るという作業の繰り返し。開発の期限が迫るなか、嶋本は試作したフィルムを抱えて「まるで人間宅急便のように」日本と中国の間を往復した。すべての問題がどうにか片付いたのは、製品発売のわずか3か月前のことだった。
「今度こそ、ちゃんと商品として世の中に出てほしい。実際に発売されるまで、祈るような気持ちでした」(嶋本)

もっと輝く未来へ。さらなる挑戦は続く もっと輝く未来へ。さらなる挑戦は続く

幾多の課題を何とか乗り越えて、サンデュレンを使った樹脂パネルスマートフォンが発売となる。
「発売直後、ご協力いただいたメーカーの皆さんに集まっていただいて祝杯を挙げました。プロジェクトが形になったのは、皆さんが僕たちの言葉を信じて最後までついてきてくれたおかげ。感謝に堪えません」(嶋本)
「さんざん無理を言ってご迷惑をかけてきた加工メーカーさんも、すごく喜んでくれました。あきらめずにやって良かったねと」(小山)

しかし嶋本たちにとって、これはまだ始まりに過ぎない。表示パネルを樹脂化することにより軽量化が図れるだけでなく、耐衝撃性やパネル形状の自由度も飛躍的に高まるからだ。さらには将来の新規ディスプレイへの道も開けてくる。その実現のカギとなる材料を供給したカネカに対する注目度は高く、引き合いも強い。

「今回の導入で一気に世界が広がりました。しかし競合他社も開発を進めていますから、気を抜くわけにはいきません。サンデュレンの大きな柱として育てていくために、これからも邁進していきたいと思っています」(嶋本)

もっと輝く未来へ。嶋本たちサンデュレン開発チームの挑戦はいまも続いている。

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