株式会社カネカ

RECRUITMENT 2025PROJECT: Project Story (Sales)

Project Story (営業)

カネカロン アフリカ市場調査プロジェクト

徹底した「現場主義」で
アフリカ市場を開拓。
女性たちに輝きを与えるカネカロン

※所属は取材当時

瀬古 裕

カネカロン事業部長付 上席幹部


1989年入社
政治経済学部政治学科(学士)卒

竹村 正弘

カネカロン事業部 営業第二グループ アフリカチーム


2005年入社
文学部史学地理学科(学士)卒

織田 雪世

カネカロン事業部 技術統括部 商品開発グループ ヘアプロダクツチーム

2012年入社
大学院アジア・アフリカ地域研究研究科(博士)卒

アフリカ女性の自立を象徴する「つけ毛」アフリカ女性の自立を象徴する「つけ毛」

砂埃立ち上る、ナイジェリア最大都市ラゴス。渋滞と人いきれの合間を縫うようにこの街を歩く日本人男性がいた。彼の視線は行き交う黒人女性の「頭」に絶え間なく注がれている。今、ここではどんな髪形が流行っているのだろう。髪の長さは、色は、カールの具合は・・・そして次に流行るのは何か?

竹村正弘。つけ毛やファーなど人工毛の素材として使われる合成繊維、「カネカロン」の営業マンだ。現地調査や販売活動のため年間の三分の一をアフリカ各国で過ごす。カネカロン事業部に脈々と続く、「現場主義」の魂を受け継ぐ人材の一人である。

カネカロンのアフリカ市場進出は今から30年以上前に遡る。1983年、ニューヨークに出張していたカネカの営業マンが、セネガルから来た黒人がカネカロンのつけ毛を大量に買い込んでいるのを目撃し、すぐその足でアフリカに飛んだのが始まりだ。

以後、代々の営業たちが自らの足で販路を拡大していった。

「市場を直接見ること」

カネカロン事業部のDNAである。全てのビジネスにおいて同じことが言えるのかもしれない。しかしカネカロンの、こと頭髪装飾分野の場合、そのメイン市場は遠くアフリカに広がる。行くだけでも大変なその土地から、ビジネスに使えるような正確な情報をとってくることは、商社であっても長年困難を極めてきた。ほかの海外市場とはわけが違うここアフリカに、それでもカネカの営業たちは足しげく通った。今、カネカロンの事業は「商社を介さないグローバルビジネスモデル」を確立し、他業界からも注目を集める。

アフリカの女性たちにとって、つけ毛は欠かせないアイテムだ。
「彼女たちの髪はそのままでも自然で美しいのですが、カールの強い髪は、櫛をとかすのが大変など、不便な面もあります。そこで、生活が豊かになるにつれて、より手軽にヘアスタイルが楽しめるアイテムとして「つけ毛」、すなわちウイッグやエクステンションが普及しました。ヘアスタイルのバラエティが豊かなうえ、忙しい生活の中でも短時間で身だしなみを整えることができ、アクティブに活動する助けになるんですよ」そう説明するのは商品開発グループの織田雪世だ。彼女は過去、学生時代を含めてガーナに8年住みながらガーナ人美容師の研究や現地での国際協力業務に携わってきた。その後、カネカロン事業部のメンバーとなる。彼女はアフリカ女性にとっての「つけ毛」の意味をこのように語る。
「女性たちは、自分が素敵であるというただそれだけのことで、自信や前向きに生きる勇気をもち、いわば10歩でも100歩でも遠くに歩いて行ける。私たち日本人が考える以上に、彼女たちにとって、つけ毛は大事なものなのです」

つけ毛はアフリカ女性の自立と社会進出を象徴するアイテムといっても過言ではない。その代表的な素材であるカネカロンという名前は、研究者時代の織田の脳裏にも深く刻まれていた。
「ガーナの美容室でカネカロンのロゴをよく目にしたので、ずっと気になっていました。だからカネカで働けることになったときは、すごくうれしかったですね」

アフリカ市場に深く入り込んで
「売れる仕組み」を構築
アフリカ市場に深く入り込んで「売れる仕組み」を構築

現在のようにカネカロンがアフリカ市場を席巻するまでには、幾多の試練があった。ファッションは移り変わりが激しいがゆえに、その流れを読み間違えた途端、在庫は一気に膨れ上がる。しかも市場は「ちょっと出かける」には難しい地球の裏側だ。カネカロン事業部の上席幹部、瀬古裕は、このビジネスの難しさとともにキャリアを歩んできた一人である。今も現地に足を運ぶかたわらで、大勢のカネカロンメンバーたちを見守ってきた。

「自分がやってみたことで、損を出したこともありましたよ」
そう言って自身の失敗談を笑う瀬古は、実は過去のヒット商品の産みの親でもある。彼をここまで突き動かしてきたものは、市場に対するあくなき好奇心と、失敗を許容しながら挑戦を続けさせてくれる組織への思いである。
「単純にアフリカは面白いと思ってやってきました。それから、自分は本当に現地のことを考えているぞ、というプライドもありました。笑われても怒られても損を出しても、現場にとことん執着して、とにかくやってみる貪欲さが大事なんです。本人が自分なりのストーリーを持って主張し続ければ、そのチャレンジを応援してくれる組織ですからね。今この事業部では、さまざまなメンバーが商社も使わず、現場に入り込んで独自のサービスや活動でビジネスを成長させています。私自身は自分の経験を活かして彼らを支援・教育しつつ、プレイングマネージャーとして活動してきました」

営業は、消費者に「欲しい」と言われるものを作って売ればいいわけではない。消費者ですら気づいていない不便をメーカーの視点で見つけ、商流に関わるなるべく多くの人が得をするような流れとともに商品を提案するのが仕事である。「売れる仕組みを作るのが営業の醍醐味」とカネカロン事業部の人間は一様に語る。しかしそれは生易しいことではない。

ビジネスの糸口をつかむため、無我夢中で現場に通い続ける諸先輩の背中を見て育った竹村は、次のように語る。
「出張に行く前に、必ず仮説を立てています。きっと現地ではこんなものが流行っていて、こんなことが起きているだろう、と。そして実際に出張にいったら、仮説の通りのときもあるし、そうでないときもある。そうでないときに、どうしてこうなっているんだろう?と一つ一つ確認するんです」

仮説の確認。それは、カネカロンというファイバーが、消費者が手にとる頭髪商品になるまでの流れの全てに営業が伴走しながら、どこまでも深く市場にもぐっていくことを意味する。情報の少ないアフリカの土地で、商流にブラックボックスを作らずにコントロールしていること自体が驚異的なことである。見えないものを見たい、知らないものを知りたいという営業たちのパイオニア精神は、現場に通い続けた長い年月を通してカネカ独自のビジネスモデルを強固にしていった。

地道な営業活動は、やがてカネカの提案する多種多様なヘアスタイルとなって消費者の前に花開く。最近アフリカで流行しているロングヘアスタイルも、もとをたどればカネカの提案がきっかけとなって生まれたものだ。トレンドを追うのでなく、自らトレンドを作り出す。それがカネカロン営業のスタイルである。
「積極的にスタイル提案を行うようになったのは、トレンドを追いかけていては乗り遅れてしまうことに気付いたからです。日本で素材を作ってアフリカに送り、製品化するまでには非常に長いリードタイムがあります。ヘアスタイルのトレンドは次々に変わるので、流行に気づいてから作り始めたのでは、店頭に並ぶころには流行が終わっていることも多い」
逆境を逆手にとったビジネス。リスクは大きいが、成功したときの達成感は並大抵のものではない。

生活の変化をとらえ、新商品を展開する生活の変化をとらえ、新商品を展開する

消費者は、高級品として「カネカロン」ブランドを認知し、憧れを持って眼差す。カネカロンのアフリカ進出以来、延々と現地に足を運び続けた営業たちの成果は、まさにこの揺ぎ無いブランド力に結実しているとも言えよう。

この30年間に、アフリカの景色は大きく変化した。とくに近年の著しい経済発展に伴い、そこで暮らす人々の生活も目まぐるしく変化している。生活が変われば、求めるものも変わる。営業たちは、今のアフリカを生きる女性たちの観察を続けながら、「まだ語られていない何か」に耳を澄まそうとする。
「多様化するニーズを拾い上げ、人々のQOLを上げることにつなげ、喜ぶ顔を見るのがこの仕事の面白さです」(竹村)

次々と新たな商品を市場に送り出すカネカロン事業部。現在も、現場主義のDNAを引き継ぎ、進化を続けている。冒頭に紹介した織田のメンバー入りもその一例である。彼女の経歴に目をつけたカネカがスカウトする形で、2012年より新たにカネカロン事業部のメンバーに加わった。ミッションは消費者密着型の市場調査と、そのデータを使った新しい商品の開発である。「われわれがカネカロンのすべてのラインナップについてアフリカ全体を幅広くフォローしていくのに対して、織田さんは、とくに消費者に近い目線から今後の市場ニーズを掘り起こす役割を担っています。現地の言葉や文化に精通し、かつユーザーと同じ女性である織田さんは、われわれ男性営業マンが入り込めないような深いところまで入っていける。その意味は非常に大きいと思いますね」(竹村)

現地の女性たちの手を借りて
「リアルな情報」を収集
現地の女性たちの手を借りて「リアルな情報」を収集

織田を迎え入れた当初の期待は、「ガーナと髪結い文化のプロフェッショナル」としてであった。しかし、たまたま織田が女性であったことが、さらなる気づきを事業部にもたらした。「女性にしか、わからないことがある」

カネカロン事業部はこれまでも大勢の女性社員を擁してきた。彼女たちの視点や工夫、細やかさがビジネスに活かされてきたのは言うまでもない。しかし、市場に直接出て行って調査活動や営業活動をおこなうのは、長年男性社員の仕事であった。特にアフリカは治安や病気等のリスクも存在することから、そこに女性社員を積極的に派遣することを上層部もなかなか決断できなかったのである。しかし、近年実際にその派遣に踏み切った数例からもたらされた収穫の大きさに、部内の認識が少しずつ変わり始める。

2013年から織田は3回にわたってガーナへ飛び、市場調査を実施する。滞在期間はそれぞれ1か月程度。街を行く女性たちへの聞き取り調査やアンケート、商品の装着テスト、ユーザーの座談会など、さまざまな角度から市場調査を行った。自分の研究のための調査は数多くこなしてきた織田だったが、短期間でこれほどまでに大掛かりな調査をしたのは初めてのことだった。
「物事がそう簡単に進む国ではないのに、限られた時間の中でできるだけ多くの人から情報を得なければならない。最初はどうしようかと悩みました」
これだけの調査となると、当然一人では無理。そこで織田が頼りにしたのが、これまでに培った人的ネットワークだった。研究・援助活動を通じて親しくなった美容師さんなどに相談して信頼できる人たちを集めてもらい、彼女たちにレクチャーして調査を手伝ってもらったのである。
「結果は大成功。みんな想像以上の自主性を発揮して調査を遂行してくれました」

今回の織田の参加を契機として、現地の女性、そしてカネカの女性社員の活躍の場の拡大にさらに力を入れていきたいと瀬古は語る。
「ユーザーと同じ女性であり、かつ独自のネットワークも持っている織田は、より深く消費者に食い込んで本音の情報を引き出すことができる。今後の活躍を大いに期待しています。しかしながら、活躍を期待しているのは彼女だけではありません。実は今回、長年カネカロンのメンバーだった商品開発チームの女性社員も織田に同行してアフリカに出張したのですが、『つけ毛を使っている女性が、どんなふうにシャワーを浴びているか』など、私自身が何度アフリカに飛んでも知りえないような面白い話を仕込んできて、その情報収集力と情熱に感動しました。目が覚める思いでしたよ。あのときから、より一層、私たちとずっと一緒に働いてきた女性メンバーたちの持つ力に注目するようになりました。昔からカネカは現場にこだわってきた会社です。これからも現場で何が起きているかを理解、把握することにこだわり、また使用者に寄り添うことを大切にして、よりよいものを届けていきたいと思います」

少女の表情がパッと輝いた瞬間少女の表情がパッと輝いた瞬間

最後に織田は、今回の市場調査で出会った最も印象的なシーンについて語ってくれた。まだ年端もいかない少女に、初めてウイッグを付けてあげたときの話だ。
「鏡を見た途端にパッと表情が明るくなって『これが私なの? 信じられない』という顔になった。人の顔が一瞬でこんなに輝くのを見たのは、初めての経験でした」

女性に安全で質の高い美を提供し、社会に貢献する。カネカロンの使命である。

現場に入りこみ、五感を研ぎ澄ます。そこで何が起きているのか、次に何が起きるのか、知りたい。感性に訴えかける商品が生み出される背景には、連綿と続く汗まみれの歴史があった。今日も社員たちは現場を歩き回る。その汗は、きっと未来を裏切らない。

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