間葉系幹細胞の分離デバイスなど再生医療分野での事業を積極展開 | 
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間葉系幹細胞の分離デバイスなど再生医療分野での事業を積極展開

間葉系幹細胞の抽出から培養まで、一貫した治療システムの確立を目指す

株式会社カネカ 広報室
2009/06/30
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:菅原公一)は、京都大学再生医科学研究所の戸口田淳也教授と共同で、再生医療での利用が期待されている間葉系幹細胞(MSC)*1を骨髄液などから効率よく抽出する分離機器(分離デバイス)の開発に成功した。当社が展開している血液浄化システムなどの医療機器の開発で培った独自の技術を活かして、本年10月に研究用の理化学機器として販売を開始する。更に、来年後半には医療機器としての製造販売を計画している。
*1骨髄や脂肪組織に存在する未分化の細胞で体性幹細胞の一種。筋肉、骨、軟骨、脂肪など間葉系に属するさまざま細胞に分化できる能力を持ち、且つ自己複製の能力を持つ細胞である。自己の細胞が使えることにより、拒絶反応の心配がないのがメリットで、新型万能細胞(iPS細胞)や、胚性幹細胞(ES細胞)とともに再生医療での利用が期待される。


また、骨髄液から抽出したMSCを高度に増殖させる自動細胞培養装置の開発にも着手し、2年以内の製品化を目指す。分離デバイスと自動細胞培養装置とを組み合わせることにより、世界で初めてMSCの抽出から細胞の培養(増殖)まで、一貫した閉鎖系での治療システムが確立することになり、5年後の売上げとして10億円を見込む。これを機に再生医療分野における新規製品の開発を積極的に展開する。

現在、MSCを使用した細胞治療は、骨・軟骨・皮膚組織の再生や、心筋梗塞・脳梗塞に代表される虚血性疾患治療などにおける新たな治療法として臨床研究が始められている。これまでの骨髄液からMSCを抽出する方法としては、骨髄液を試験管に入れ、比重を利用した遠心分離を繰り返すことで採取する「密度勾配遠心法(フィコール法)」が一般的であったが、処理時間が長いこと(約90分〜150分)に加え、開放系で処理するために異物が混入する可能性も高く、また作業者の経験・熟練度によって採取効率(収率)が大幅に異なるという課題があった*2。
*2フィコール法とは別に、骨髄液からMSCを抽出するのでなく、骨髄液をそのまま細胞培養工程にかける「全骨髄播種法」も行われているが、培養効率が大きく低下するという問題がある。

今般開発に成功した当社の分離デバイスは、特定の不織布を使用し、MSCが繊維に付着する性質を利用して一度の処理でMSCを効率的に採取することが特徴である。作業時間は、10〜20分間程度となり、フィコール法の約10分の1程度まで短縮される。また、分離して採取できる細胞数はフィコール法の5倍程度に達し、細胞の抽出効率が大幅にアップする。このため一定の細胞を採取するのに必要な骨髄液量も減らせ、ドナーから骨髄液を取り出す身体への負担も軽減される。更に、閉鎖系での処理が可能なため安全性についても非常に高い。

一方、自動細胞培養装置の開発については、本年3月に株式会社日立メディコ(本社:東京都千代田区、社長:浜松潔)より譲り受けた装置開発に関する技術・ノウハウを活用し、次の開発を進める。

1) 骨髄液などから得たMSCを培養する工程を自動化する*3と共に、培養フラスコ、バッグ、チューブからなる密封型細胞培養キットを使用することにより、汚染リスクが低減される装置をつくる。
*3通常細胞培養に関しては、高度に清浄度が管理された専用施設のセル・プロセッシング・
センター(CPC)で、培地交換、細胞回収などが手作業で行われ、培養細胞の品質が作業者の経験・熟練度に依存している場合が多い。自動培養装置の開発により、汚染リスクの大幅な低減に加え、CPC施設の整備・維持費用の低減、作業の標準化、省力化も可能になる。


2) 培地交換*4が培養開始時に設定したスケジュールに従い自動的に実施されると共に、培養中の細胞状態をリアルタイムで観察でき、また観察画像を自動で取得・保存する機能を持たせる。
*4培地とは、微生物あるいは動植物の組織などを培養するために調製された液状または
固体の物質。


今般開発に成功した分離デバイスと自動細胞培養装置については、本年7月1日から3日まで東京ビッグサイトで開催される「国際バイオEXPO」において、当社と業務・資本提携している株式会社ジェイ・エム・エス(JMS、本社:広島市、社長:谷光大)との共同ブースにおいて展示紹介する。同社は、MSCを増殖させるための血清を患者自身の血液から短時間かつ安全にとりだす「小型血清採取デバイス」など独自の技術を有しており、分離デバイスと自動細胞培養装置の両製品共に、JMSの得意技術との相乗効果により製品化を加速している。今後も同社と研究開発段階における連携を一層強化することにより、独創的な医療機器を創出し、将来にわたって大きな成長が期待される細胞治療・再生医療分野における事業を積極展開する。
以 上

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