慢性疲労症候群に対する還元型コエンザイムQ10の改善効果について

-大阪市立大学との共同研究で効果を確認-

株式会社カネカ 広報室
2012/11/01
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:菅原公一)は、公立大学法人大阪市立大学医学研究科(大阪市、理事長・学長:西澤良記)の渡辺恭良特任教授(理化学研究所分子イメージング科学研究センター センター長兼務)を中心とする疲労研究チームと共同で、還元型コエンザイムQ10*1(以下、還元型COQ10)に、原因不明の疲労や倦怠感等の症状が長期に続く慢性疲労症候群患者に対して症状の改善効果があることを確認しました。この研究成果については本年11月8日から11日にスペインのセビリアにて開催される「第7回国際コエンザイムQ10 学会」で報告されます。

今回の試験は、慢性疲労症候群患者*220名(男性5名、女性15名、平均年齢36.8歳)に対して、還元型COQ10(150mg/日)を2ヶ月間投与し、投与前と投与終了時の変化を疲労・睡眠・うつ症状に関する自覚的症状の得点、酸化ストレス・抗酸化力、計算課題により評価しました。その結果、血中のCOQ10濃度の上昇が、うつ症状の改善、睡眠時間の延長、計算課題の正答率の増加と有意に関連があることが明らかとなりました。また、酸化ストレスは、血中のCOQ10濃度の上昇につれて減少することも明らかとなりました。酸化ストレスやエネルギー産生の低下は、慢性疲労症候群等の疾患に係るメカニズムとして注目されています。

*1 COQ10には酸化型と還元型がありますが、体内では大部分が還元型として存在し、エネルギー産生賦活や抗酸化作用など、細胞が正常に機能するうえで必須の作用を発揮していると考えられます。従来からの酸化型が機能を発揮するためには、体内で還元型に変換される必要がありますが、最近の研究では、体内での変換力は加齢や病気等によって低下することがわかってきています。

*2 慢性疲労症候群とは、ある日突然原因不明の激しい全身倦怠感に襲われ、それ以降強度の疲労感とともに微熱、頭痛、脱力感や、思考力の障害、抑うつなどの症状が長期にわたって続くため、健全な社会生活がおくれなくなるという疾患です。現在、有効な治療方法が見つかっておりません。

 

以 上

 

*うつ症状は、CES-D(center for epidemilogic studies depression scale)を用いて測定されました(サクセスベル株式会社)
CES-D1977年にRadloffにより一般人のうつ症状を評価するためにつくられました。本来はうつ病のスクリーニングに用いられるテストです。