菊花ポリフェノールによる尿酸値上昇抑制効果を分子レベルで解明

-尿酸産生抑制と尿酸排泄促進を介した効果であることを確認-

株式会社カネカ 広報室
2014/05/15
株式会社カネカ(本社:大阪市、社長:角倉護)は、東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命化学専攻 ILSI Japan寄付講座 機能性食品ゲノミクスの阿部啓子特任教授、広島大学大学院先端物質科学研究科分子生命機能科学専攻の平田大教授と共同で、菊花ポリフェノールを含有する菊花抽出物(以下、菊花ポリフェノール)摂取によりみられる血中尿酸値の上昇抑制効果が、「尿酸産生抑制」と「尿酸排泄促進」の2つの作用によるものであることを確認しました。この研究成果は、国際学術雑誌“Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry”(早期公開(オンライン閲覧))に4月16日掲載されました。

これまでに当社は、尿酸値が高めの方(7.1 mg/dL以上)を対象としたヒト試験(プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験)の結果、菊花ポリフェノール摂取が、食事による尿酸値の上昇を抑えることを、帝京大学医学部内科の藤森新教授と共同で、2012年に報告しております(第66回日本栄養・食糧学会大会)。

今回の研究では、体内の尿酸量が「尿酸産生」と「尿酸排泄」のバランスによって決定されていることに着目し、食餌性高尿酸血症モデルにおいて、尿酸値上昇抑制効果の作用メカニズムの検討を行いました。高尿酸血症誘導食を摂取させたラットの尿酸値は上昇したのに対し、高尿酸血症誘導食に加え菊花ポリフェノールを摂取させたラットでは、高尿酸血症誘導食による尿酸値の上昇が抑えられました。そして、菊花ポリフェノール摂取が、肝臓における尿酸産生酵素(キサンチンオキシダーゼ)の酵素活性を阻害すること(尿酸産生の抑制)、尿中の尿酸濃度を上昇すること(尿酸排泄の促進)が示されました。さらに、DNAマイクロアレイを用いた腎臓の網羅的遺伝子発現解析の結果、尿酸の排泄に働く尿酸トランスポーターであるABCG2*1及びSLC17A1*2の遺伝子発現の上昇が認められ、これらの遺伝子発現変動が、菊花ポリフェノールによる尿酸排泄の促進に関与していることが示されました。

以上から、菊花ポリフェノールは、尿酸産生酵素の阻害による「尿酸産生の抑制」と、尿酸トランスポーターの遺伝子発現の上昇による「尿酸排泄の促進」によって、尿酸値の上昇を抑制していることが示唆されました。高尿酸血症*3は、その原因により、「尿酸産生過剰型」、「尿酸排泄低下型」、「混合型」の3タイプに分類されていますが、尿酸産生を抑制し尿酸排泄を促進する菊花ポリフェノールは、高尿酸血症のタイプに関わらず効果を発揮することが期待されます。

菊花ポリフェノールの詳細については、下記サイトを参照ください。
<健康成分情報サイト「健康カガク・ラボ」>
http://www.knk-lab.jp/ingredient/kikubana.html

*1 ABCG2: ATP-binding cassette (ABC) transporter, subfamily G, member 2
ABCG2の尿酸排泄機能の低下が、高尿酸血症の主要な原因の1つと示されている
*2 SLC17A1: solute carrier family 17, member 1
痛風及び高尿酸血症患者の遺伝子解析より見出された尿酸トランスポーターの1つ
*3 高尿酸血症:性・年齢を問わず、尿酸値が7.0 mg/dLを越えた状態。尿酸値の上昇に伴い、痛風発作のリスクが増加する

以 上