カネカ 高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化技術開発を加速

— NEDOグリーンイノベーション基金事業を活用し、次世代型太陽電池の社会実装を目指す —

株式会社カネカ IR・広報部
2022年3月16日
 株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:田中 稔)は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業*1/次世代型太陽電池の開発」(以下、本事業)の助成金交付決定を受け、高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化技術開発を加速します。

 ペロブスカイト太陽電池*2は、高変換効率と低製造コストとの両立が可能な次世代型太陽電池として、近年世界的に注目されています。我が国においても、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、既存技術では設置が難しい場所への太陽電池の導入に、その軽量性や柔軟性を活かすことができるものと期待されています。

 当社では、自社設計のポリイミドを基板に用い、薄膜シリコン太陽電池*3の量産技術を活用することで世界最薄水準*4である約10μm厚の超薄型ペロブスカイト太陽電池を開発しています。また、この開発を通じてフィルム型ペロブスカイト太陽電池における世界最高水準である20%*5に迫る変換効率*6を実現しました。当社は、このような革新的なペロブスカイト太陽電池の社会実装を目指し、「サイズフリー・超薄型の特長を活かした高性能ペロブスカイト太陽電池の実用化技術開発*7」を進めてまいります。

 当社は、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)*8」提言への賛同を表明しており、太陽電池事業を重要な事業の一つとして位置づけ、2050年カーボンニュートラルの実現に向け取り組んでまいります。

以 上

 *1. グリーンイノベーション基金事業:2020年12月25日に経済産業省が関係省庁と連携して策定した「2050 年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において示された、官民で野心的かつ具体的な目標を共有した上で、これに経営課題として取り組む企業等に対して、10年間、研究開発・実証から社会実装までを継続して支援する事業。次世代型太陽電池は成長が期待される重要分野の一つ。

*2. ペロブスカイト太陽電池:光吸収層としてペロブスカイト構造の材料を用いた太陽電池。

*3. 光吸収層として薄膜シリコンを用いた太陽電池。当社は、薄膜シリコン太陽電池の生産を年間120MW規模で実施。この生産で培った量産技術を活用し、現在はヘテロ接合結晶シリコン太陽電池の生産を行っている。

*4. 当社調べ。

*5. 第三者機関 [一般財団法人電気安全環境研究所(JET)] での国際規格IEC60904に基づいた変換効率測定による。指定面積測定での結果 (セル変換効率19.8%、測定面積0.1cm2)。

*6. 太陽電池の重要な性能指標の一つで、光のエネルギーを電気エネルギーに変換する割合。

*7. 本事業における当社の開発テーマ名。

*8. TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures。2021年3月31日 当社ニュースリリース「カネカ 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明」より。
ポリイミドを基板に用いた10cm角サイズの超薄型ペロブスカイト太陽電池の開発品