気管支拡張用バルーンカテーテル「SUKEDACHI®」を販売開始

株式会社カネカ
広報(Public Relations)部
2025年7月31日
 株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:藤井 一彦)は、国立大学法人大阪大学(総長:熊ノ郷 淳)との共同研究成果を基に開発した気管支拡張用バルーンカテーテル(商品名:SUKEDACHIⓇ)を6月より販売開始しました。当社のバルーンカテーテルをはじめとした精密成形技術と、大阪大学大学院医学系研究科の臨床・非臨床試験に関する豊富な経験を融合することで製品化に至りました。

 「SUKEDACHI」は、肺がん診断を目的とした気管支鏡検査(※1)用途に開発したバルーンカテーテルです。本製品は、バルーンで気管支を拡張することで気管支鏡の通り道を作り、病変近傍まで気管支鏡を到達させて生検を行う「バルーン併用気管支鏡送達法(BDBD: Balloon Dilatation for Bronchoscope Delivery)」にて使用される世界初の製品です。バルーン併用気管支鏡送達法は、大阪大学大学院医学系研究科の三宅浩太郎助教が考案した技術であり、当社がこの技術の実用化に成功しました。

 日本では呼吸器系疾患の患者数は700万人以上で、そのうちがん死亡数第一位である肺がん患者数は約33万人にのぼります(※2)。本製品は、従来到達困難であった肺の奥深くまで気管支鏡を送達させることが可能になり、病変の診断精度の向上が期待されます(※3)。また、病変付近まで気管支鏡を届けられる特長により、患者の負担を軽減する気管支鏡下治療(※4)への応用が可能になるなど、今後の用途拡大が期待されます。

 当社は、「カネカは世界を健康にする。KANEKA thinks “Wellness First”.」という考えのもと、呼吸器疾患におけるさまざまな課題解決に向け、今後さらに製品ラインアップを拡充し、患者のQOLの向上に貢献してまいります。すべての人に先端医療が当たり前に普及する世界、地球環境と生活の革新にカガクが貢献する世界を実現します。

以 上

(※1)気管支鏡(気管・気管支内をのぞき見る内視鏡)を使って気管・気管支内を観察すると共に、組織や細胞を採取して正確な診断をつける検査。
(※2)令和5年(2023)「患者調査の概況」(厚生労働省)。
(※3)胸部異常陰影2㎝未満のがんの診断率について、従来法は34%(※5)に対し、SUKEDACHIを用いた気管支鏡検査の当社臨床成績は77.8%を達成。
(※4)気管支鏡を使って気管・気管支の狭窄を拡張したり、がん細胞を焼灼したりする治療。
(※5)特定非営利活動法人 日本肺癌学会, 2023,「肺癌診療ガイドライン 2023年版」, 3.確定診断 CQ9, 2025年6月10日取得, https://www.haigan.gr.jp/publication/guideline/examination/2023/1/1/230101030100.html,

          
          
        SUKEDACHI(製品全体)               SUKEDACHI(バルーン部分)


         バルーン併用気管支鏡送達法(BDBD: Balloon Dilatation for Bronchoscope Delivery)