基本的な考え方

当社は、社長直轄の知的財産部にて、R&B活動の成果を特許などの知的財産として確実に権利化することにより、社会課題の解決に資するソリューションの早期提供を目指しています。当社のすべての研究者や技術者は、知的財産がR&B+Pの活動のアウトプットの一つであるとの認識の下、得られた成果に対しては、積極的にノウハウも含めて知的財産の取得に努めています。また、営業担当も知的財産の重要性を理解して事業に活用できるよう研修などの取り組みを行っています。
グローバルな知的財産および国内グループ会社については知的財産部が対応し、一方、米州、欧州、アジアの各地域においては統括会社への知的財産専任者の配置により、現地の課題を直接対応する体制を整えています。国内外のグループ会社の知的財産リスク、営業秘密流出等を未然に防ぐために、グループ会社と知的財産部との連携も強化しています。
他者の知的財産権に対しては、これを尊重し、係争を未然に回避するため、テーマ提案・事業化・仕様変更、ブランドネーミングなどの事業開発の節目において必ず特許調査や商標調査を実施し、クリアランス確保に万全を期しています。
R&Bメンバーの特許出願へのインセンティブを高めるために2019年から施行した特許出願時の職務発明報奨制度も効果を出し始めており、出願件数も増加しています。
2021年に改定されたコーポレートガバナンス・コードに関し、知的財産に対するガバナンス向上の活動を継続しており、知的財産部担当役員へ毎月実施している定例報告会にて報告と指示を受けています。さらに、事業部門や研究部門の部門長と知的財産部長による会議を年に1回実施しており、知的財産部の活動方針の共有と各部門の事業戦略・研究戦略と知財戦略との連動を強化しています。

戦略的な知財ポートフォリオの構築

2021年度は、バイオものづくりや環境対応に貢献する技術分野に注力して、特許出願や権利化を行いました。
国内では、当社独自の遺伝子デリバリー技術による植物の形質転換方法に関する出願や、機械的強度に優れるポリマー樹脂組成物を用いた構造接着剤に関する出願が特許査定を受けました。
米国では、カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®について、高分子量体を製造する出願や工業的に生産するうえで重要な酵素に関する出願に対して特許査定を得ました。また脳動脈瘤塞栓用「iED Coil®」の中間体構造に関する出願も登録されました。
環境問題に対する技術としては、<新たに挑戦・強化するテーマ>として重要な技術であるペロブスカイト太陽電池に関する凹凸平坦化技術の出願を米国で、また中間層に関する出願を中国で権利化できました。

情報活用の推進

IPランドスケープの取り組み

知的財産情報と非知的財産情報を組み合わせて分析を行うIPランドスケープ®の活用を促進します。2021年度は、知的財産部に専任者を配置し、R&B部門のニーズを抽出して、どのような情報がどのような場面で役に立つのか、試行錯誤しながら当社なりのIPランドスケープ®を模索しています。そのために、まずは当社の技術の整理からスタートしました。世界的な課題であるカーボンニュートラルに対して、当社のどのような技術を展開できるか、なども検討しました。
これらの取り組みを通じて、出願戦略や事業戦略への貢献を目指します。

「IPランドスケープ®」は、正林国際特許商標事務所の登録商標です。


知財×DXの強力推進

適切な先行技術を把握するために、特許出願前に実施している出願前先行技術調査において、最近進歩が著しいAI調査ツールを活用して、従来人手で行っていた調査を効率的に、また短納期に報告する試みに着手しました。出願までのリードタイムの短縮を図ることができる見込みを得られたと考えており、さらに検討を進めてR&B活動の高速化へ貢献します。
また、R&Bメンバーが日常的に行う競合他社の新規特許出願や論文投稿をチェックするSDI調査においてもAIツールの適用を検討しています。SDI調査の検索結果の母集団はさまざまな技術分野の特許情報を含みますが、必要な技術に関する特許情報を効率的に抽出するためにAIによる自動分類機能の活用をトライアルしており、これの適用が可能になればR&Bメンバーの時間を本来の研究に使えることを期待できます。


特許価値評価

2020年度より導入したLexisNexis社「PatentSight®」を活用し、特許の価値評価を行っています。一例として、他社でも検討されている特許の総価値(Patent Asset Index™)を用いて、当社の特許の総価値の変遷を確認したところ、ここ10年間ほどはほぼ同程度の価値で推移していました。今後は、出願数や権利保有数などの数とともに、特許の価値についても着目し、事業に貢献する知的財産ポートフォリオの形成を目指す予定です。

「PatentSight®」・「Patent Asset Index™」は、PatentSight GmbHの登録商標・商標です。

特許保有数

ポートフォリオの変革に向けて、国内特許・海外特許出願を積極的に行い、権利化を図っています。
2021年度は、新たに国内特許258件、海外特許280件が登録となりました。
一方、知的財産経費の効率的な管理に努めており、活用されていない特許を積極的に放棄した結果、2021年度末における特許保有数は昨年度とほぼ同等の国内特許3,285件、海外特許3,473件となりました。
今後も、R&B本部と連携して、より強固な知的財産ポートフォリオを構築していきます。

国内特許保有数

国内特許保有数

海外特許保有数

海外特許保有数

“議論の発散”と“技術の縁”が起点!
―将来の種の目利き力を磨く

2021年度に4年目を迎えた「将来の種の目利き力を磨く」取り組み(1stステージ)ですが、これまで参加した受講生の中から、より高いレベルを目指して検討を継続するという強い意志があるメンバーが再度挙手して議論を深める取り組み(2ndステージ)を新設しました。熱い想いを持ったメンバーが再度集まり、自身が興味あるテーマを持ち寄り、“議論の発散”と“技術の縁”をキーワードに、将来の種を創出できる力を磨き上げます。

図:将来の種

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