カーボンニュートラル(CN)

世界を健康にするためにサステナブルを体現する工場を実現する

カネカグループは、TCFDの趣旨に賛同し、シナリオ分析を通じて気候変動関連のリスクと機会を特定するとともに、中長期的な対策を策定しています。
また、カーボンニュートラル推進に向けてGXリーグ(※1)にも参画しました。
これらに基づき、カネカグループは、国内外グループ会社を含めたScope1・2を対象とし、2030年にGHG排出量の30%削減(2013年度比)、2050年にはカーボンニュートラル実現を目指しています。

今後もGHG排出量削減に向け、当社がこれまで培ってきた生産技術力をつなぎ、新たな開発テーマを実装するとともに、生産現場の絶え間ない省エネルギー活動等を進めていきます。
また、社外とも横断的な取り組みを進め、世界の健康に貢献していきます。

GHG排出量削減目標の考え方

当社は、2030年の目標達成に向け、まずは基準年2013年度のGHG排出量から30%に相当する47万トンの削減を目指しています。高砂工業所の燃料転換などにより、2024年度までに51万トンの削減計画を見込んでいます。
さらに、将来の事業拡大と排出量削減を両立するため、省エネ・プロセス革新によるGHG排出量削減ポテンシャルを抽出し、内部炭素価格を考慮した経済合理性のある計画を策定していきます。

GHG排出量削減
総ポテンシャル
推進中案件 進捗
1. 燃料転換 31万トン 31万トン 脱石炭投資決定 
31万トン
2. 省エネ 30万トン 2.6万トン 稼働済
3. プロセス革新 10万トン 0.4万トン 稼働済
4. 再生可能エネルギー・低CO2排出係数の電力・蒸気の活用 21万トン 17万トン カネカマレーシア
バイオマスボイラー導入決定など 7万トン
電力会社排出係数低減 10万トン
GHG排出量削減 合計 92万トン 51万トン

現在までの進捗

1) 実現性の高いフェーズまで進捗した案件

Scope1:脱石炭の3年前倒し(2030年→2027年の実現)を決定しました。高砂工業所は、2027年の脱石炭とGHG排出量削減に向けて、新規のガスタービンコージェネレーションの設置工事を計画通り進めています。
Scope2:カネカマレーシアは、2026年のバイオマス由来蒸気への切り替えに向けて供給会社との契約を完了し、約3万トンのGHG排出量削減を見込んでいます。また高砂工業所では、電力会社の排出係数の低減により、約10万トンのGHG排出量削減を見込んでいます。

2) ポテンシャルの抽出

国内外グループ会社のGHG排出量削減テーマの調査活動にとどまらず、社外との連携も模索し、低GHGエネルギーの調達など、GHG排出量削減ポテンシャルを拡大させています。

TCFDに沿った情報開示

カネカは2021年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の提言への賛同を表明しました。

ガバナンス

気候変動に関するリスクと機会は、信頼の生産力センター 品質・地球環境センターが、掌理しています。
気候変動に関するリスクやその予防策の策定では、事業部門・生産部門・研究部門と協議の上、品質・地球環境センターから取締役副社長を本部長とするTask Force「Sustainability(SX)本部」へ提案・審議され、各部門と協業しながら対処していきます。
特にカーボンニュートラルに係るモノづくり戦略については、 Task Force「Sustainability(SX)本部」の傘下にあるDX・CN Committeeが、事業部、スタッフ部門、工場、研究所、グループ会社と連携しながら、モノづくり領域のDXとカーボンニュートラルを一体とした取り組みを推進します。DX・CN Committeeでの活動は、Task Force「Sustainability(SX)本部」へ報告され、今後の活動方針が審議・決定され、事業計画などへ反映されます。
特に重要性の高い案件は取締役会に報告されます。

戦略

気候変動のリスクと機会について、当社にとって特に重大と判断したものを下表にまとめています。
2023年度は、太陽光発電の普及、バイオマスプラスチックの利用拡大、廃棄物有効活用の需要増加について、当社の重要度の高い事業機会として1.5℃シナリオ/4℃シナリオで分析を行い、関係部門に共有しました。主な対応策は事業計画に組み込まれており、継続して取り組みを進めることとしました。

リスクマネジメント

気候変動に関わるリスクと機会は、品質・地球環境センターが中心となってシナリオ分析を行い、事業に係る対応策は事業部門と共有し事業計画に反映します。生産に係る対応策はDX・CN Committee、生産DX・CNプロジェクト会議へ提案、審議されます。

指標および目標

カネカグループは2050年までにカーボンニュートラルを実現します。そのマイルストーンとして、2030年にGHG排出量30%削減(2013年度比)を目標として設定しました。2023年度のカネカグループのScope1とScope2のGHG排出量合計は、1,513千トンCO2e(2013年度比97.9%)でした。カネカ単体のScope3排出量は3,006千トンCO2eでした。
2022年度よりグループ会社のScope3排出量の算定範囲を段階的に広めています。今後は、Scope3排出量削減方針を検討する予定です。
2023年度までの実績は、「気候変動への取り組み」をご覧ください。

特に重大な気候変動関連のリスクと機会の事業インパクトと対応策

タイプ 社会の変化 気候変動関連のリスクと機会が組織の事業、戦略、財務計画に及ぼす影響
リスク/機会)
対応策
(◎は重点化領域)
政策/法的 GHG排出規制の強化 GHG削減諸対応による減価償却費等、諸コストが発生
  • インターナルカーボンプライシング(ICP)制度導入
政策/法的 炭素税導入に伴う操業コスト増(サプライチェーン含) 炭素税導入に伴い操業コストが増加 ◎自家発電設備の早期燃料転換
  • 既存の製造工程での継続的な省エネ
  • プロセス革新
  • 再生可能エネルギー・低CO2排出係数電力の活用
  • インターナルカーボンプライシング(ICP)制度導入
技術 サーキュラーエコノミーの加速 石化由来包装用プラスチックの生産量に対する課税が行われ、仕入れコストが増加

生分解性プラスチックをはじめ、循環型社会の実現に貢献する製品、低炭素・脱炭素関連製品の需要が拡大
◎ カネカ生分解性バイオポリマーGreen Planet®の量産・用途拡大
◎ 二酸化炭素と水素からカネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®を生産する研究開発の促進
  • 再生材の利用拡大
市場 バイオマス由来樹脂の需要増加と石化系樹脂の需要低下
技術 原材料・エネルギー源の低炭素化 原油等の価格変動により燃料コストが変動 ◎ 自家発電設備の早期燃料転換
  • 既存の製造工程での継続的な省エネ
  • 再生可能エネルギー・低CO2排出係数電力の活用
輸送車における脱炭素技術の導入やクレジット購入コストの転嫁に伴い、購入運賃や販売運賃が増加
  • 調達方針の見直し
  • サプライチェーンマネジメントの強化
市場 再生可能エネルギー、エネルギーネットワーク、省エネ関連製品の需要増加 ZEB・ZEH 向け資材の需要が拡大 ◎ 太陽光発電関連製品の充実・拡大
  • 自己託送・マイクログリッドの拡大
  • 住宅用断熱材(カネライトフォーム®)の充実・拡大
  • 蓄電池の開発
急性 異常気象による自社工場・サプライチェーンへの影響 集中豪雨での洪水や渇水による自社工場の生産停止、サプライチェーン寸断などによる売上の機会が喪失、建物被害の増加
  • グループ拠点の水リスクの把握
  • BCPの定期的な見直し
異常気象による災害に備えた建築建材需要の増加 気象災害による被害を軽減させる建築建材製品の売上が増加
  • 盛土用発泡体(カネパール®・カネライトフォーム®)の展開

PAGE TOP