バルコニー用「T-Green® Multi Solar」を開発

- ガラス手摺と一体化した多機能な太陽光発電システム -

株式会社カネカ
大成建設株式会社
2022年10月11日
 株式会社カネカ(本社:東京都港区、社長:田中 稔)と大成建設株式会社(本社:東京都新宿区、社長:相川 善郎)は、2019年に共同開発した、建物の外壁や窓と一体化させた太陽光発電システム「T-Green® Multi Solar」を新たにガラス手摺と一体化させて、戸建て住宅、マンションのバルコニーにも設置できる発電システムとして開発しました。本システムは、高い発電効率に加え、外部からの視線を遮るタイプや室内からの眺望を確保できるタイプなどの選択が可能で、外観の意匠性を備えるとともに、災害時における非常用電源としても機能も有しています。

 2022年9月東京都は「2030年カーボンハーフ」の実現に向けた条例制度改正の基本方針を公表しました。これにより、戸建て住宅やマンションを含む新築建物に太陽光発電等再エネ設備の整備を義務づけていることから、今後、マンション等に太陽光発電システムの設置が急速に普及することが予想されます。また近年では、自然災害等の発生による超高層マンションの停電被害が報告されており、停電時の共用部分の照明、携帯電話の充電など非常時における柔軟で確実な対策も課題となっています。 
 超高層マンションの場合、一般的に太陽光パネルは屋上に設置していますが、屋上には様々な設備機械等が配置されており、太陽光パネルを設置するスペースが限られ、発電量も限定されていました。そこで、建物の高さを最大限に活用できる壁面を利用し、「T-Green® Multi Solar」を用いた住宅バルコニー用のガラス手摺一体型太陽電池システムを開発しました。

 本システムの特徴は以下のとおりです。(図1、2参照)

(1)ガラス手摺としての優れた耐久性・施工性を有し、高効率の発電を長時間持続可能
  本システムは、一般的なバルコニーのガラス手摺と同等以上の耐久性・強度を有し、取付け作業もバルコニー内部から容易に行うことが可能で、高効率な発電を30年以上持続することができます。
(2)災害時に独立した非常用電源として活用
  本システムは、災害による停電時に独立した非常用電源として使用可能で、蓄電池と組み合わせることにより、共用部の照明や災害時に携帯電話の充電にも利用でき、安全で快適な生活環境の維持に貢献します。
(3)眺望・プライバシーの確保と意匠性を兼ね備えた3タイプを選択可能
  本システムは、透過性のない「ソリッドタイプ」*1と透過性を確保した「シースルータイプ」*2の従来タイプに加え「ハーフタイプ」*3の3タイプを選択可能で、お客様のニーズに柔軟に対応できます。

 今後、当社と大成建設は、戸建て住宅やマンションのほか、病院・ホテル・商業施設等の用途に応じて本システムを積極的に提案し、建物のZEH・ZEB化への寄与を通じて、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。

以 上

*1. バルコニーの外部からの視線を遮りプライバシーを確保できる、透過性のないタイプ
*2. 室内から眺望と明るさを取り込める縞状の太陽電池を配置することにより透過性を確保したタイプ
*3. バルコニー下方から視線を遮り、室内からの眺望を確保でき、ソリッドタイプを半分にしたタイプ

                        
                     図1  超高層マンションのバルコニーで発電するガラス手摺「T-Green® Multi Solar」導入イメージ
 
         
         
                 図2 ソリッドタイプを下半分に配置した「ハーフタイプ」
                   (下からの視線を遮り室内からの眺望を確保)


発電量の少ない屋上に加え、壁面(手摺)の発電量で年間を通して安定した発電量を確保することができます。
※周辺建物等による影の影響を考慮しておりません。屋上に太陽光を設置出来ない場合があります。
                                           図3 超高層(23階)マンションの全体発電量シミュレーション例(参考値)

「T-Green®」は大成建設株式会社の登録商標です